あなたがある会社と取引をしようとするとき、相手方がどんな会社なのか、そもそも実在する会社なのか、調べる方法がなかったらどうでしょう。安全・安心な取引など望めませんし、ひいては日本経済の停滞につながりかねません。そうならないように、日本にある会社の社名(商号)、目的(業務範囲)、本店所在地、資本の額、役員氏名、設立日などの主な情報は、法務局の登記記録にデータとして保存され、一般に公開されています。
ですから、あなたが会社を設立しようとする場合にも、必ず法務局に届け出をして、登記簿にあなたの会社の情報を登録しなければなりませんし、設立後に役員を改選したり増資したりすることによって、その情報に変更があった場合も、同様に法務局に届け出をして登記記録のデータを更新しなければならないのです。
この、法務局への届け出のことを、正確には「商業登記を申請する」といい、司法書士は、会社(の代表取締役)の委任に基づき、この手続きを代理人として行い、会社から報酬(手数料)を頂くことができます。
もっとも、少しでも節約をしたい会社は、司法書士に頼まず、自らこの手続きをすることもできますが、登記申請の種類によっては難易度の高いものもありますので、専門家である司法書士にご依頼頂くことをお勧めいたします。
定款とは会社の根本規則であり、発起人が作成します。発起人のビジョンにより、様々な条項を盛り込むことができます。会社法が施行 されてから、内容の自由度が飛躍的に高まりました。
公証人のチェックおよび認証を経て初めて定款が効力のあるものとなります。
定款に、現物出資等、一定事項の記載がある場合など、裁判所の選任する検査役の調査を経なければならない場合があります。
一定の重要事項で、定款に定めていない事項がある場合、発起人全員の同意で定めなければなりません。
発起人だけが出資をする場合を発起設立といい、発起人以外にも出資者を募る場合を募集設立といいます。
出資すると約束した財産の全部を現実に出資しなければなりません。ちなみに、従来は資本金が最低1,000万円必要でしたが、この制限 は会社法では廃止されました。
発起人は、取締役・監査役・会計参与などを選任します。従来、株式会社の組織は「3名以上の取締役からなる取締役会+代表取締役 +監査役」と決まっていましたが、会社法では、様々な組み合わせが可能になりました。
選任された取締役・監査役の最初の仕事です。設立手続きに不備がないかのチェックを行います。
取締役会を置いた会社は、取締役の過半数の一致により、代表取締役を選任します。
本店所在地を管轄する法務局に登記を申請します。この時点で、会社が成立します。
任期が切れたら、メンバーの変更の有無にかかわらず役員の改選をしなければなりません。その結果、役員再任の登記をする必要があります。この登記手続きを怠ると、過料の制裁があります。
株式の譲渡につき会社の承認を要する旨の定めがある会社に限り、役員の任期を約10年まで延長することができます。この手続をすれば、たしかに役員変更登記は約10年に1回すればよいことになり、経費の節減にはなるでしょう。しかし、いったん選任した役員を任期中に解任することには損害賠償請求のリスクがある点に留意するべきです。
平成18年5月1日に会社法が施行された際に有限会社制度は廃止されたため、新規に有限会社を設立することはできません。ただし、施行当時に存在していた有限会社は強制的に株式会社になるわけではなく、有限会社のまま存続することが許されています。
会社法においては株式会社の資本金は1円以上あればよいことになっているため、新たに資本金を用意しなくても、社員総会の決議によって簡単に株式会社に変更することが可能です。
商号や目的や出資者、役員構成など、設立に際して確定しているべき事項が決定してから、1週間程度です。通常は依頼から会社設立登記の完了まで2~3週間かけて手続を進めます。